<ナレッジ>Vol.14 企業統合に関する会計基準の一部改正について

2019/06/10

1. はじめに

2019年1月16日に企業会計基準委員会(ASBJ)より、企業結合に関する会計基準及び適用指針が公表されています。2019年4月1日以後開始する事業年度の期首以後に実施される企業結合から適用すると発表されており、M&Aが頻繁に行われている今日において重要な内容かと思います。

今回の改正の内容は、企業結合会計の「取得」にあたるため、こちらに焦点を当てて説明をしていきます。

2. 概要

企業結合会計における「取得」とは、ある企業が他の企業又は企業を構成する事業に対する支配を獲得することをいいます(企業結合会計基準9項)。企業結合の取引の実態が「取得」と判定された場合には、取得会社を決定し、取得原価を算定後、その取得原価を資産や負債などに配分する会計処理を行います。

被取得企業又は取得した事業の取得原価は、原則として、取得の対価(支払対価)となる財の企業結合日における時価に、取得に直接要した支出額(取得の対価性のあるものに限る)を加算して算定します(企業結合会計基準23項、26項)。この取得対価は、本来、企業結合日時点において確定するものですが、企業結合の契約の際に一定の条件を定めている場合に変動することがあります。これが「条件付取得対価」にあたります。今回の改正により、この「条件付取得対価」の定義と会計処理が一部変更になりました。

3. 改正内容

2013年12月に開催された第277回企業会計基準委員会において、企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」に係る条件付取得対価に関連して対価の一部が返還される場合の取扱いについて検討を求める提言がなされ、2019年1月11日に改正内容が公表されました。

主な改正内容は、以下のとおりとなります。

① 定義
従来は、「条件付取得対価とは、企業結合契約において定められるものであって、企業結合契約締結後の将来の特定の事象又は取引の結果に依存して、企業結合日後に追加的に交付又は引き渡される取得対価をいう。」とありました。本会計基準の改正により、こちらに「企業結合日後に追加的に返還される取得対価」も追加されました。(企業結合会計基準(注2))

② 会計処理
条件付取得対価の定義に「企業結合日後に追加的に返還される取得対価」も追加されたことに伴い、以下の会計処理が追加されました(企業結合会計基準第27項(1)、(注3)及び(注4))。

  • 条件付取得対価が企業結合契約締結後の将来の業績に依存する場合において、対価の一部が返還されるときには、条件付取得対価の返還が確実となり、その時価が合理的に決定可能となった時点で、返還される対価の金額を取得原価から減額するとともに、のれんを減額する又は負ののれんを追加的に認識する。
  • 減額するのれん又は追加的に認識する負ののれんは企業結合日時点で減額又は追加認識されたものと仮定して計算し、減額又は追加認識する事業年度以前に対応する償却額及び減損損失額は損益として処理する。

③ 適用時期等
2019年に改正された本会計基準(以下「2019年改正会計基準」という。)は、2019年4月1日以後開始する事業年度の期首以後実施される企業結合から適用します。2019年改正会計基準の適用初年度において、これまでの会計処理と異なることとなる場合には、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱うこととなりました。
また、2019年改正会計基準の適用前に実施された企業結合に係る従前の取扱いは、2019年改正会計基準の適用後においても継続し、2019年改正会計基準の適用日における会計処理の見直し及び遡及的な処理は行わないこととなりました。

4. さいごに

簡単ではありますが、以上が改正の概要となります。今回の改正は、2019年以前に行われた企業結合に係る会計処理を変更するものではありません。しかし、今後このような企業結合が行われた場合には、注意する必要があります。

改正に関するご不明点等御座いましたら、当グループまで是非お問い合わせください。

以上

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