<ナレッジ>Vol.13 新リース会計基準開発について

2019/05/10

1. はじめに

IFRSにおいて、2016年に新リース会計について規定するIFRS第16号「リース」が公表され、「vol.8 IFRS第16号リース会計の導入」においても制度の概要について掲載致しました。IFRSにおける新リース会計の公表を踏まえ、企業会計基準委員会(ASBJ)では日本におけるリース取引に関する会計基準の開発に着手するか否かについて検討を行い、全てのリース取引について資産と負債を認識する会計基準を作成する方針で合意しました。

2. IFRS第16号「リース」の概要

日本における新リース会計は、IFRS第16号「リース」と基本的に整合するように開発されることが想定されます。IFRS第16号「リース」の概要は以下の通りです。

  • 原則として全てのリース取引につき、借手は、使用権資産(資産)とリース料支払い債務(負債)を計上しなければならないという使用権モデルの考え方が採用されている。従って、原則として全てのリース取引をオンバランスする必要がある。
  • 例外として、 対象資産が少額資産(「少額」の基準は明確に定義されていないため、各企業において定めることが求められます)又は期間が1年未満(短期リース)である場合、オンバランスせず、費用処理することが認められている。ただし、例外処理をとった場合も少額資産、短期リースの金額の注記が求められる。

3. 日本における新リース会計基準開発の必要性

上記のように、IFRSにおいて借手は原則として全てのリース取引について資産と負債を認識します。一方で、現行の日本基準では、ファイナンス・リースとオペレーティング・リースとに区分した上で、原則としてファイナンス・リースのみが資産計上されるため、同一のリース取引においても、IFRSと日本基準とで会計処理に差異が生じることが起こりえます。

このような差異を踏まえ、以下の理由から、新リース会計の開発に対するニーズが高まっています。

  • 財務諸表間の比較可能性を確保すること
  • 格付機関等の財務諸表利用者の財務分析において、オペレーティング・リースに関する調整が行われており、資産及び負債の計上に関するニーズがあること
  • 日本の会計基準において重要なオペレーティング・リースについて賃貸借処理を継続することは、重要な負債がオフバランスになっているとの指摘を国際的に受ける可能性があり、日本の資本市場及び財務報告に対する信頼性に関するリスクが大きいと考えられること

4. 新リース会計の導入における懸念

日本においてIFRSと整合性を図り全てのリース取引について資産及び負債を認識することに対する懸念は、以下のとおりです。

(1) 会計上の考え方(資産負債を計上することに対する懸念)
① 我が国における賃貸借契約の規定に照らした場合、リース物件の引渡し時に、借手がリース料の支払に係る無条件の義務を有すると捉えることに対する懸念
② 延長オプションについて、リース負債を認識することに対する懸念
③ サービスとしての性格が強い契約について資産及び負債を認識することに対する懸念

(2) 適用の困難さに関する懸念
① リースの識別(法的にリース契約でない契約に含まれるリース部分の特定)
② 延長オプションが含まれるリースについてのリース期間の決定

(3) 適用コストに関する懸念
① リース物件の把握に係る管理コスト、リース構成部分とサービス構成部分の区分に関するコスト等

(4) 事業モデルの実態を表さないとする懸念

5. 最後

今後、ASBJにおいて、IFRSとの整合性や、連結・個別財務諸表の関係性などを審議し、公開草案を作成していく予定です。その後、公開草案に対する意見を踏まえ、再審議を経て基準が公表されることになります。

新リース基準は、リース取引を利用している全ての企業において影響を検討する必要があるため、リース取引を利用している企業は、今後の基準開発の動向を注視していく必要があると言えます。

基準開発の動向、影響の検討等につきましては、当グループまでお問い合わせください。

以上

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【お問い合わせ先】令和アカウンティング・ホールディングス株式会社
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