<ナレッジ>Vol.9 消費税増税に伴う経過措置

2018/12/03

1. はじめに

「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」に基づき2019年10月1日に消費税率が10%に引き上げられることが安倍内閣政府により閣議決定されました。2014年4月1日に消費税率が8%になってから5年半ぶりの増税となります。

増税前には消費者による駆け込み需要の発生、増税後には消費者の購買意欲の低下など、増税により様々な影響が生じることは避けられないと想定されています。

しかし国の対策として「軽減税率」「経過措置」「インボイス方式」などの導入があります。今回はそのなかで「経過措置の導入」について説明をしていきます。

2. 概要

原則として消費税の税率は施行日より新税率10%(消費税率7.8%、地方消費税率2.2%)が適用されますが、経過措置の適用があれば、施行日以後でも旧税率8%(消費税率6.3%、地方消費税率1.7%)が適用されることになります。これは一定の取引で不利益が生じないように、また増税をスムーズに行うため講じられた制度となり、経過措置の適用は任意ではなく、要件を満たす場合には強制となります。

経過措置が適用される取引には下記が挙げられます。
(1) 工事の請負等
(2) 資産の貸付け
(3) 電気料金等
(4) 旅客運賃等
(5) 冠婚葬祭のための施設やサービスの提供
(6) 予約販売に係る書籍等
(7) 特定の新聞購読
(8) 通信販売
(9) 有料老人ホームに関する介護サービスの提供
(10) 家電リサイクルの再商品化等

経過措置の内容は基本的には前回の消費増税時に適用されていたものとほぼ同様の内容になりますが、(3)電気料金等に関する経過措置に「灯油の供給」が追加されていることと、(10)家電リサイクルの再商品化等に係る経過措置が新設されたことの2点が主な変更内容となっております。

今回は、上記のうち、(1)工事の請負等について具体的に説明していきます。

3. 工事の請負等に関する経過措置

適用要件として、下記が挙げられます。

① 対象となる契約内容
工事の請負に係る契約及び製造の請負に係る契約、これらに類する契約があります。これらに類する契約の範囲としては測量、地質調査、工事の施工に関する調査、企画、監理、設計等、映画の製作、ソフトウェアの開発に関する契約等で、契約に基づく仕事の完成に長期間を要し、かつ、目的物の引き渡しが一括して行われることとされているもののうち当該契約に係る仕事の内容につき、相手方の注文が付されているものとなります。

② 契約締結日
指定日である2019年4月1日の前日2019年3月31日までに契約を締結している必要があります。
特例として、指定日から施行日の前日までに締結した消費税法第17条第1項に規定する長期大規模工事または同条第2項に規定する工事の請負に係る契約に基づき、施行日以後に当該契約に係る課税資産の譲渡等を行う場合において、当該長期大規模工事等に係る対価の額について施行日の属する事業年度以前の年または事業年度においてこれらの規定の適用を受けるときは一定の算式により計算した金額に係る部分の課税資産の譲渡等については、旧税率が適用されます。

③ 引渡し時期
施行日2019年10月1日以後に当該契約に係る課税資産の譲渡等を行うこととされています。

④ 契約金額を変更する場合
指定日以後に当該契約に係る対価の額が増額された場合には、当該増額前の対価の額に相当する金額に限り経過措置の適用があります。
上記適用要件を満たし、経過措置の適用を受けた課税資産の譲渡等を行った場合には、その契約の相手方に対し、適用を受けた旨を書面により通知する必要があります。ただし、契約書を締結すること自体は要件とはされていないため、請求書等に経過措置の適用を受けた工事である旨を記載することでも差し支えないとされています。

4. さいごに

以上が簡単な概要となります。消費税増税にあたり、企業においては現在締結している契約または今後締結予定の契約が経過措置適用の対象となるか整理する必要があります。ご不明な点や疑問点等御座いましたら、当グループまでお問合せください。

以上

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