<ナレッジ>Vol. 1 新収益認識基準について

2018/04/02

1. はじめに

昨年夏、「収益認識に関する会計基準及び同基準の適用指針(以下、新会計基準等)」の公開草案が公表され、税務も対応する形で年末に「平成30年度税制改正大綱(以下、税制改正大綱)」が閣議決定されました。新会計基準等は平成30年3月までに最終基準化予定とされ、強制適用は平成33年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首からとされており、3年の準備期間が設けられています。適用対象は連結財務諸表のみでなく個別財務諸表も含まれること、業務の根幹となる収益に関する事項であり、システムや業務プロセスの見直しが必要となる可能性も想定されること、新会計基準に対応して税務も改正されていること等から多くの企業にとって自社業務及び会計処理への影響の検討をなるべく早期に行うことが望ましいと思われます。そこで、ここでは新会計基準等及び税制改正大綱につきまして簡単な概要説明を致します。

2. 新会計基準等の概要

収益認識をするために、「(1)顧客との契約の識別」「(2)契約における履行義務の識別」「(3)取引価格の算定」「(4)契約における履行義務への取引価格の配分」「(5)履行義務を充足した時に又は充足するにつれて収益を認識」という5つのステップを適用することが要求されています。各ステップでの検討事項も多く、従来の実務を新会計基準等に沿って再検討することが必要です。新会計基準等では、「履行義務」を認識し、「履行義務」別に「取引価格」を配分して、「履行義務」を果たした時点(一時点)、又は果たすにつれて(一定の期間にわたり)、「履行義務」に配分された「取引価格」に基づいて収益を認識していくことになります。実務上の影響は、①「履行義務」別の収益認識が明確化されたことで、従来は一つの取引として会計処理されていた取引が複数の履行義務に分けられることにより、収益認識の金額・時期が変わる可能性があること、②「取引価格」について、対価の変動可能性、重要な金融要素等の様々な検討事項が規定されたことにより、従来認識していた金額とは異なる金額となる可能性があること等の影響が想定されます。また、③本人と代理人の区分が規定され、取引の本人である場合には総額での収益認識、代理人である場合には純額での収益認識が要求されること、消費税の様な第三者のために代理で回収していると認められる項目は収益の額に含まれないとされ、消費税の税込会計処理は認められないようになること等も想定されます。

3. 税制改正大綱の概要

従来、法令上明確にはされていなかった益金算入となる収益の「金額」と認識の「時期」を法令上明確化し、新会計基準等の取扱いに則って収益の額を実質的な取引単位に区分して計上できるといった項目もある一方、一部の項目については新会計基準等の取扱いを受け入れない項目(買戻しの可能性がある場合等)もあり、新会計基準等に対応した税制改正ではあるものの、引続き会計と税務の処理に相違は残ることになっています。

4. 現状実務への影響等

新会計基準上は、従来の基準及び実務等から変更される事項の具体例として、①割賦基準に基づく収益計上、②顧客に付与するポイントについての引当金処理、③返品調整引当金の計上の3つが挙げられています。従来認められていた、回収基準等の割賦基準に基づく収益認識、顧客へのポイント付与に対する引当金の計上、返品が予想される商品に関する返品調整引当金の計上は行えなくなります。これに対応して税制改正大綱でも、法人税法及び消費税法での長期割賦販売時の延払基準の廃止及び法人税法での返品調整引当金制度の廃止等が記載されていますが、法人税法と消費税法で取扱いが分かれている項目もあり、今後の税制改正にも注意を払う必要があります。

5. さいごに

以上が簡単な概要です。多くの会社にとって会計・税務の実務で広く影響を受けることが想定されますが、新会計基準等についてはこれまで我が国で行われてきた実務等に配慮をして代替的な処理が認められている項目が設けられていますし、税制改正大綱については一部で任意規定とされていたり、現状の処理が一定期間認められる等の経過措置が定められていたりしますので、自社にとって最適な対応を図っていくためにも、取引の形態や業務への影響の早期の確認が望まれます。
影響検討、実務整理、個別の会計・税務処理等につきましての実務上の不明事項や疑問点等御座いましたら、当グループまで是非お問い合わせください。

以上

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