<速報>2020年度 税制改正大綱の概要について

2019/12/18

Ⅰ. はじめに

2019年12月12日、自民党・公明党により2020年度税制改正大綱が発表されました。
持続的な経済成長に向けて、企業が持つ巨額の内部留保をベンチャー企業への投資に呼び込んだり、関連技術の世界的な開発競争が激しい次世代通信規格「5G」の普及を後押ししたりといった優遇措置を柱に据えています。
本稿では、今回の税制改正大綱のうち投資法人・特定目的会社(以下、「TMK」とする。)に影響が大きいと考えられる項目について、概要を説明します。なお、大綱については、今後の国会における法案審議の過程において、一部項目の修正・削除・追加などが行われる可能性があることにご留意ください。

Ⅱ.投資法人・TMK

Ⅱ-1.特定の事業用資産に係る買換え特例措置の延長

所有期間が10年を超える事業用資産の買換えを行った場合、譲渡した事業用資産の譲渡益について一定の課税の繰延べを認めている長期保有資産の買換え特例措置の適用期限が3年延長され、令和5年3月31 日までとされました。

現状の長期保有資産の買換え特例措置の概要については以下のとおりです。
法人が、昭和45 年4 月1日から令和2年3 月31 日までの間に、その所有する棚卸資産以外の特定の資産(譲渡資産)を譲渡し、譲渡の日を含む事業年度において特定の資産(買換資産)を取得し、かつ、取得の日から1 年以内に買換資産を事業の用に供した場合又は供する見込みである場合に、買換資産について圧縮限度額の範囲内で帳簿価額を損金経理により減額するなどの一定の方法で経理したときは、その減額した金額を損金の額に算入する圧縮記帳の適用を受けることができます。

圧縮限度額 =圧縮基礎取得価額 × 差益割合 × 80%

但し、譲渡資産が地域再生法に規定する集中地域以外の地域内にあり、かつ、買換資産が以下の地域にある場合は次の割合を使用します。
① 東京都の特別区の存する区域:70%
② ①の区域を除いた地域再生法の集中地域:75%

Ⅱ-2.投資法人等の外国子会社合算税制適用時における二重課税調整措置の導入

投資法人等(特定目的会社等を含む)が外国子会社合算課税の適用を受ける場合には、外国関係会社の所得に対して課される外国法人税の額のうち、合算対象とされた金額に対応する部分の金額は、その投資法人等が納付した外国法人税の額とみなして、投資法人等の配当等に係る二重課税調整の対象とする等の措置が講じられることとなりました。
上記の改正は、外国関係会社の令和2年4月1日以後に終了する事業年度について適用されます。

現状の規定の概要と投資法人における課題については、以下のとおりです。
外国子会社合算税制は、我が国の内国法人における外国子会社を利用した租税回避を抑制するという観点から、外国子会社等がペーパーカンパニー等である場合又は経済活動基準をない場合には、「特定外国関係会社(受動的所得しか得ていないような租税回避リスクの高い外国関係会社)」として定義し、租税負担割合が30%未満の国に存する場合は、その特定外国関係会社の所得相当額を親会社である内国法人の所得とみなし、合算して課税する制度です。
原則として、投資法人は他の法人の議決権の過半を超える数の株式又は出資を保有することはできませんが、平成25年度税制改正により、現地の法規制等によって投資法人が直接的に海外不動産の取得等を行えない場合には、当該海外不動産の取得等を目的として設立したSPC の議決権の過半を超える数の株式又は出資を投資法人が保有する方法により間接的に海外不動産へ投資することでリターンを得ることが可能となりました。
当該方法によりSPCを通じて海外不動産に投資する投資法人の実態が、租税回避を目的としたものではないことは明らかですが、当該SPC が特定外国関係会社に該当し、当該SPC の所得が外国子会社合算税制による合算対象となった場合に二重課税調整措置がないことが懸念されていました。当該合算税制が適用される場合、通常の内国法人においては、特定外国関係会社等において課された外国法人税や、特定外国関係会社等が現地税法上構成員課税(パススルー課税)扱いとされる場合に日本の親法人が支払う特定外国関係会社等の所得にかかる外国法人税(所謂みなし法人税)については、内国法人の法人税から控除する外国税額控除制度が認められ、国際的な二重課税調整が可能となっています。一方、投資法人等においては、同様の控除が認められていません。そのため投資法人等においても、投資法人等から投資家へ支払う配当等に係る源泉所得税等から控除する、所謂ファンド二重課税調整の対象とする措置が望まれていました。

Ⅱ-3.投資法人に係る課税の特例における再生可能エネルギー発電設備の取得期限の措置の延長

投資法人に係る課税の特例(租税特別措置法第67 条の15等)における再生可能エネルギー発電設備に係る措置の再生可能エネルギー発電設備の取得期限が3 年延長され、令和5年3月31日までとされました。

Ⅲ.おわりに

今回の改正では、一般社団法人不動産証券化協会(ARES)から提出されていた税制改正要望事項のうち、以下のものについては税制改正大綱には入れられず、該当する投資法人においては、税会不一致による二重課税の解消について未だ課題が残ることとなりました。

「投資法人が税会不一致による二重課税の解消手段を行使する際の任意積立金の取扱に係る改正」
任意積立金や買換特例圧縮積立金を計上している投資法人が税会不一致による二重課税を解消するため利益超過分配を行う場合、当該積立金の全額を取り崩さなければならず、利益超過分配による二重課税の解消手段を行使することが事実上困難な状況となっています。

また、一般社団法人日本アセットマネジメント協会(JAAM)から提出されていた税制改正要望事項のうち、以下のものについては今回の税制改正大綱には入れられず、上場インフラファンドにおいては、安定性の維持及び継続企業性の確保について未だ課題が残ることとなりました。

「導管性要件の充足期限の延長に係る改正」
現在の制度上、所与の要件を満たす投資法人が、再生可能エネルギー発電設備を取得した場合には、当該発電設備を最初に貸付した日以後20 年を経過した日までの間に終了する各事業年度に限っては、導管性を満たすものとされており、恒久的な導管性を有していないこととなっています。

Ⅳ.セミナーの開催について

2020年2月に税制改正セミナーを実施いたします。日程等の詳細はHPにてお知らせします。

以上が簡単な概要となります。
実務上の不明事項や疑問点等御座いましたら当グループまで是非お問い合わせください。

この情報は役に立ちましたか?

情報量は適切ですか?

【お問い合わせ先】令和アカウンティング・ホールディングス株式会社
https://rw-ah.net/
E-mail: info(at)rwk-tax.com
※(at)は @ に置き換えて下さい

記事一覧に戻る